研究課題/領域番号 |
17300157
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
宮崎 香 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 教授 (70112068)
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研究分担者 |
東 昌市 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助手 (10275076)
長嶋 洋二 横浜市立大学, 医学部, 準教授 (10217995)
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キーワード | ラミニン / 幹細胞 / 間葉系幹細胞 / 増殖 / 分化 / 血管内皮細胞 / 基底膜 / 細胞接着 |
研究概要 |
ラミニンはα、β、γのサブユニットからなる巨大複合蛋白質であり、サブユニットの違いによって約15種類のラミニン分子種が知られている。これらのラミニンはそれぞれ特異的な組織の基底膜に存在し、受容体インテグリンを介して上皮細胞などの接着、移動、増殖、分化、極性、細胞死などを調節している。私たちはラミニンα3Aまたはα3B、β3およびγ2鎖のcDNAをHEK293細胞に導入してヒトラミニン5Aおよび5Bの大量安定発現系を初めて樹立した。同様にα3Aまたはα3B、β1およびγ1鎖のcDNAをに導入することによって組換え型ラミニン6Aおよび6Bを発現させることに成功した。本研究では、これらのラミニンの性質を調べるとともに、再生医療への応用性を検討した。 1)ラミニン5Aおよび5Bがヒト骨髄由来間葉系幹細胞(hMSC)の軟骨分化を抑制する一方、bFGFと協調的にhMSCの増殖を促進することを明らかにした(Stem Cells24:2346-2354,2006;特許出願)。 2)HEK293細胞を用いて新規ラミニン分子であるラミニン6B(α3Bβ1γ1)を効果的に発現させ、精製する系を確立した(特許出願)。これまで、ラミニン6Bの発現は知られていないが、免疫染色の結果から、肺、皮膚、食道などの上皮基底膜ではラミニン5B(α3Bβ3γ2)が、一方これらの組織の血管基底膜にはラミニン6Bが存在することが明らかになった、また、hMSCもラミニン5Aやラミニン5Bではなく、むしろラミニン6Bを発現すると考えられた。ラミニン6Bはラミニン5Bに比べて細胞接着活性が低いが、血管内皮細胞の増殖を促進することが明らかになった。これらの結果から、ラミニン6Bを血管内皮細胞やhMSCの培養基質として利用できると考えられる。
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