研究課題
本年度は蛍光相関分光(FCS)を本格的に関節軟骨に導入するために、豚の足の軟骨を用いて測定を行った。豚の軟骨はと殺後速やかに薄い試料にして、倒立型顕微鏡用のウェル内に設置して溶液に浸潤し測定した。測定前にFCS測定の共焦点を垂直方向に移動させる。軟骨試料の表面の散乱を確認した後、焦点を試料内に向けてさらに約20ミクロン垂直方向に移動して測定すると軟骨の細胞外マトリックス(ECM)中を拡散する蛍光プローブのFCS測定が成功することがわかった。蛍光プローブとしてはRhodamin系やAlexa系を調べたが、Alexa系の蛍光色素が適当であることがわかり、ECMの網目構造の存在により拡散が効果的に阻害されることがわかった。また軟骨中に存在する典型的なタンパク質であるアルブミンを蛍光ラベルした試料を用いて、アルブミンの拡散状態も調べた。これらの様々な蛍光プローブを用いて、軟骨細胞を酵素処理して、損傷軟骨のモデル系を構築した系に適用した。モデル損傷軟骨ではいずれも拡散係数が増大したが、ECMフリーの溶液中の拡散係数よりはまだ小さく、ECMの網目構造の状態をこのFCS法でとらえられることが初めて明らかになった。この実験により、FCSが変形性関節症の診断に使えることが証明され、その基礎技術が確立したことになる。また、これらの拡散は異常拡散現象で、異常拡散を正しく測定できる新しい蛍光相関分光装置を用いて測定を行った。
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