研究課題
基盤研究(B)
本研究では、腫瘍血管制御による低侵襲粒子線癌治療法の開発を目的とし、NFSa線維肉腫細胞を後ろ脚に移植した腫瘍マウスを用いて、陽子線照射と腫瘍血管遮断剤AVE8062を併用し、本治療法の有効性を検証した。マウスによる治療的実験を実施するために、東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター(CYRIC)に小動物用粒子線治療装置を開発した。また、CYRICのAVFサイクロトロンより得られる治療用の80MeV陽子線の動物腫瘍における放射線生物学的効果を評価するために、イヌ由来の扁平上皮癌細胞に対する照射実験を行った。その結果、コバルト60ガンマ線に対する陽子線の放射線生物学的効果比は、ブラッグピーク付近において1.4〜1.5、拡大ブラッグピークにおいて1.1であり、ガンマ線よりも大きな細胞致死効果を示した。マウスによる動物実験において、陽子線治療(15Gy、または30Gyの80MeV陽子線単回照射)では、線量に応じた顕著な腫瘍体積の減少および増加遅延の結果が得られたが、AVE8062処置(5mg/kg、または10mg/kgの単回腹腔投与)では、コントロールと大きな違いは見られなかった。陽子線治療とAVE8062の併用治療(陽子線照射の1時間後にAVE8062処置)でも陽子線単独の場合と比べて、同程度あるいはやや大きな効果が示唆される結果であった。今回の実験結果は、AVE8062の抗腫瘍効果が投与法などの原因により十分に得られなかったことによると考えられる。陽子線照射とAVE8062処置の併用治療のプロトコルを最適化すれば、より大きな抗腫瘍効果が期待される。
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The proceedings of XI International Conference on PIXE and its Analytical Applications (2007, Puebla, Mexico)
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CYRIC Annual Report
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Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 538
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