研究概要 |
【目的】本研究の目的は,多列検出器型CT(MDCT)装置から得られる,造影・非造影の時相の異なる時系列3次元(異時相4次元)データを用いて,肺末梢の局所血流病態を客観的に分析・定量化することにより肺の病変の診断や手術支援をおこなうコンピュータ支援診断システムを開発することである. 【実績】われわれの研究成果の概要は以下のとおりである. (1)肺領域のセグメンテーション:前年度に引き続き,肺領域を高精細にセグメンテーションするアルゴリズムの開発を試みた.特に,コンソリデーションのある場合を想定したアルゴリズムの開発に取り組んだ.さらに肺葉単位で解析をおこなうために肺葉分割のアルゴリズムを開発している. (2)肺の気管支領域の解析:昨年に引き続き気管支領域をセグメンテーションするアルゴリズムの開発をおこない精度を向上させた.さらに,COPD診断のための気管支径の測定のアルゴリズムの開発を行っている. (3)肺血管領域の解析:肺葉分割やサブトラクション処理のための高精細な気管支抽出アルゴリズムの開発を行った.これはびまん性陰影の解析のためにも用いられる. (4)造影・非造影サブトラクション処理:抽出された血管をもとに肺のサブトラクション処理をおこない,造影・非造影の時相の異なるCTのサブトラクション処理をおこなった.この結果は疑似カラーによるマッピングを用いることにより視覚的にわかりやすく表示され,放射線科医による解析を行っている. (5)吸気・呼気サブトラクション処理:吸気と呼気のCT画像に対して,非剛体位置あわせ処理によるサブトラクションのアルゴリズムを開発した.さらにその変移量をベクトルとして可視化するアルゴリズムを開発した. (6)共通プラットフォームの開発:開発したCADアルゴリズムを実装して医師にも使いやすいようなインターフェースを備えた共通プラットフォームを開発した.
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