研究課題
1)悪性腫瘍による転移性リンパ節腫大の動物モデルと、2)炎症性リンパ節腫大の動物モデル、を作成し、造影超音波によるセンチネルリンパ節造影の効果を検討した。1)は、下肢にVX2腫瘍を移植し膝窩のセンチネルリンパ節に転移を惹起せしめたウサギ10羽を使用した。VX2腫瘍の移植から造影までの期間を変えることにより、検討する転移巣の大きさを変化させた。2)は、大腸菌あるいはブドウ球菌を下肢の皮下に注射し膿瘍を形成し、膝窩リンパ節の炎症性腫大を惹起せしめたウサギ10羽を使用した。リンパ節の超音波造影は以下の要領で行った。超音波造影剤であるSonazoid注射液を、0.25mLを腫瘍あるいは膿瘍を取り囲むように4カ所の皮下に注射した。超音波プローブを下肢に当て注射された部位からリンパ管、次いでリンパ節が造影されるのを観察した。撮像条件は、MI値0.3の低音圧送信の位相変調法ハーモニックを用いた。腫瘍の転移によるリンパ節腫大は、リンパ節辺縁に残存したリンパ装置が造影されたが、中央部は陰影欠損として認識され転移巣が明瞭に描出された。腫瘍の移植からの期間に応じて転移巣の大きさが変化することが確かめられた。膿瘍による炎症性リンパ節腫大の場合には、リンパ節全体が造影された。感染からの期間が短い場合(1-2日)には、リンパ節全体が均一に造影されたが、長期間(1-4週間)の場合には不均一に造影された。病理組織との対比検討では、腫瘍によるリンパ節腫大の欠損部は、占拠した腫瘍組織であり、周辺の造影された領域は残存するリンパ装置であることが確認された。炎症性腫大の場合には、慢性期の不均一造影は、慢性炎症にともなう線維化部分が造影されない部分と一致した。本年度の研究により、腫瘍転移によるリンパ節腫大と、炎症性腫大の鑑別診断が超音波造影によって行えると結論できた。ただし、慢性炎症による造影の不均一性と転移性リンパ節腫大の不均一造影は形態的にことなるとは言え、鑑別に注意する必要があることが判った。
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