研究課題
1、臨床研究においては、糖尿病・高血圧症例を含む各種心疾患120例において心筋RF信号の取り込みを行い、心筋RF信号をカオス理論で解析して求めたアトラクタより相関次元を求めた。当初、拡張型心筋症例のように心筋線維化が高度な症例において相関次元は低下することを観察したが、今回の検討において、軽度の心筋線維化が存在すると考えられる心筋における相関次元はむしろ増大することが示された。また、関心領域の大きさや計測する心周期、さらには加齢の影響についても検討し、関心領域の大きさ、そこに含まれるスペックルエコーの有無、さらには計測する心周期の影響を大きく受けることが示された。2、心筋線維化の程度を超音波組織性状指標で評価できるかを明らかにするために、ラットにアドリアマイシンを投与したモデルをまず作成した。まず、このモデルにおいて心筋線維化の変化が著明であることを観察し、このモデルおよび正常心筋からの心筋RF信号の取り込みを行った。その結果、相関次元は心筋の線維化の程度との間に逆比例を認め、この所見は臨床において拡張型心筋症でみられる所見と一致することを確認した。次に、比較的経度の心筋線維化を有する高血圧性心不全ラットにおいて心筋からの超音波RF信号の変化を検討した。その結果として、相関次元は正常心筋に比べむしろ増加する傾向がみられ、心筋線維化と超音波組織性状指標の関係は単純ではなく、二方向性の変化をすることが推測された。アドリアマイシン心筋症ラットと高血圧性心不全ラットとの間には左室収縮機能に大きな違いがあり、それがこの結果の相違を説明する一つの機序と考えられた。そこで、すでに得られたデータベースの解析により左室収縮機能と超音波組織性状指標の関係を検討したところ、両者の間に密接な関係があることが示唆された。
すべて 2005
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