研究課題
1、臨床研究においては、糖尿病・高血圧症例を含む各種心疾患20例においてアンジオテンシンII受容体拮抗薬またはカルシウム拮抗薬の半年間の長期投与前後で心筋RF信号の取り込みを行い、心筋RF信号をカオス理論で解析して求めたアトラクタより相関次元を求めた。投与前には相関次元は正常よりも増大した例、減少した例と様々であったが、これらの薬剤の長期投与後に平均値は不変であったがばらつきが小さくなる傾向が見られた。すなわち、治療前に相関次元が増大していた症例では減少し、一方、治療前に相関次元が減少していた症例では増大した。このことは、心筋線維化が高度な症例においては治療前に相関次元は低下しており、これらの薬剤の投与により心筋線維化の改善がみられ、増大すると考えられた。これらの症例に心筋線維化の血液マーカを計測中であり、この結果との比較によりこの仮説の妥当性が検証されよう。一方、心筋肥大が高度な症例においては治療前に相関次元は増大しており、治療による肥大の退縮に伴い相関次元は増大すると考えられた。実際、相関次元の増大の程度は心筋肥大の改善の程度と相関した。おいてはことが観察された。また、関心領域の大きさや計測する心周期、さらには加齢の影響についても検討し、関心領域の大きさ、そこに含まれるスペックルエコーの有無、さらには計測する心周期の影響を大きく受けることが示された。2、心筋線維化、心筋肥大の程度と超音波組織性状指標との関連を評価する目的で、疾患モデルラットでの計測を行った。心筋線維化の強いモデルラットにおいては、相関次元は心筋の線維化の程度との間に逆比例を認め、この所見は臨床においてみられる所見と一致することを確認した。一方、高血圧ラットにおいては心筋肥大に比例して相関次元は正常心筋に比べむしろ増加する傾向がみられた。今後、これらに及ぼす心機能の関与の検討が必要と考えられる。
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