研究概要 |
指先誘導マニピュレータを用いたなぞる感覚の提示 初めに,従来,被制御量である平面上の二つの位置と制御量である二つのアクチュエータ回転角が,2対2の非線形連立方程式で関係付けられるマニピュレータ構造であったのに対して,新たに,被制御量と被制御量と1対1の線形式で関係付けられる直動型マニピュレータを開発した。 これを用いて,従来は,平面的な図形の提示において,被験者はただ誘導されるだけの受動型(全誘導)指先誘導マニピュレータであったのに対して,自分の意志で図形を探索することができる能動型(無誘導)指先誘導マニピュレータ,および受動、能動切替型(半誘導)指先誘導マニピュレータの研究を行った。なお,受動、能動切替型では折れ線図形の頂点に到達すると,そこからある範囲において,受動型と同じ制御をする。その範囲を過ぎると,能動型と同じ動作を行う。これにより,被験者は,頂点までは,自分の速度で移動でき,頂点からどの方向へ行くか迷うことなく,提示図形を認識できる可能性がある。 その結果,一般的には,全誘導が最も有効的であるという実験結果が得られた。しかし,被験者が装置の扱いに慣れば慣れる程,全誘導,無誘導,半誘導ともに,認識率や認識時間の向上するのは当然であるが,半誘導における認識率と認識時間の向上は,他の手法の向上に比べて著しいと考えられることが分かった。ここから,指先誘導の実用化として,普段あまり使わないものになるならば,単純な能動的提示法がよく,よく使われるものになるならば,能動提示と受動提示が混在する手法の方が認識手法として好ましい例もあるのではないかと考えられる。 従来では,図形情報を触覚する方法として,受動提示が研究されてきた。本研究では,装置により能動的に指先を誘導する能動提示をとりあげ,さらに,その誘導による錯覚を考察した。その結果,指先の誘導速度などを調整し故意に操作者に寸法知覚に関する錯覚を生起させることに成功した。
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