研究概要 |
テプレノン投与による骨格筋でのHSP(熱ショックタンパク質)70の発現について検証した.投与量とHSPの発現について検証するためラットにテプレノン200mg/kg投与群,400mg/kg投与群と600mg/kg投与群に区分し,経口投与を行った24時間後のHSP72の発現について検討した.ヒラメ筋(SOL)のHSP72発現は,Control(CON)の95±20(au)に対して,200mg/kg投与群は143±4,00mg/kg投与群は101±28,600mg/kg投与群は100±29となり有意な差を認めなかった.速筋である長趾伸筋(EDL)のHSP72発現量は,遅筋であるSOLに比較し,HSP72発現量はSOLの28%と極めて低い発現であった.EDLにおけるCONでは,28±7(au)であったのに対して,GGA投与群では,23±3であった.これらの結果から600mg/kgの高濃度の経口投与を単独で行っても,骨格筋へのHSP72の誘導が観察されないものと考えられる.一方,先行研究によりGGAがプレコンディショニングな作用を行い,過酷な生体侵襲でその効果が強調され可能性が考えられる.そこで,GGAのみ投与ではHSP72の誘導が観察されなかったが,予めプレコンディショニング的にGGAを投与し,廃用性萎縮筋を誘発するときにHSP72の増強が生じるかについて検証を行った.廃用性萎縮(HU)では46±2となり有意な減少を示したが,GGAを投与したHU群では77±6であり,HUに比較して,HSP72の減少が抑制された.また,筋原タンパク質量の減少も抑制された.この結果から,廃用生筋萎縮時のHSP72の減少がGGAの投与によりHSP72の発現と相殺されることで,HSP72の減少が減衰されたものと考えられる.廃用性萎縮を減衰する予防薬としての可能性が示唆された.
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