研究概要 |
暑熱順化プログラム(7日間の暑熱下運動)によって、運動時の皮膚血流量増加の体温調節反応は向上するのか、またその時に体温上昇に伴う換気量増加反応が減少するのか?を検討することを目的とした。被験者は7名の健康な男性であった.実験は,最大酸素摂取量(VO_<2peak>)の測定と暑熱下運動テストを,暑熱順化トレーニング前後に行った.運動閉始前の食道温(T_<es>)は,暑熱順化トレーニング前(36.70℃)と比べて,暑熱順化トレーニング後(36.38℃)に,有意に低下した.T_<es>に対する皮膚血管コンダクタンス(FVC)の反応は,FVC増加の深部体温閾値は,暑熱順化トレーニング前(36.93℃)と比べて,暑熱順化トレーニング後(36.45℃)に,有意に低下し,深部体温閾値以降のT_<es>とFVCの直線関係の傾きは,暑熱順化トレーニング前(12.8±1.5units)と比べて,暑熱順化トレーニング後(20.5±2.9units)に,有意に増加し,FVCの最大値は,暑熱順化トレーニング前(13.1±1.7units)と比べて,暑熱順化トレーニング後(15.5±2.0units)に,有意に増加した.T_<es>と換気量(VE)の直線関係の傾きは,トレーニング前後で有意に変化しなかった(8.6±3.1 1/min/℃ vs 9.3±3.7 1/min/℃).得られた主な知見は、7日間の暑熱トレーニングによって、1)皮膚血流量増加に関する体温調節反応は顕著な向上が見られたが、2)体温増加に対する換気亢進反応に対しての効果は見られなかった、である。しかしながら、体温調節反応には個人差が大きいことと今回の被験者数が7名と少ないことから、今後被験者数を加えての検討も必要とされるかもしれない。
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