研究課題
安定同位体標識糖(外因性糖)を用いて経静脈糖負荷試験を行い、血糖(内因性糖+外因性糖)と標識糖の差から内因性糖濃度の経時変化を算出し、シミュレーション解析(2-coipartment miniial model analysis)により肝臓からの糖放出を推定し、更にその肝臓の糖放出がインスリンでどの程度抑制されるか、つまり肝臓のインスリン感受性を推定する式を考案した。これまでのところ、健常人(20例)や競技者や運動負荷後の糖負荷試験など(30例)の解析は順調に進み、運動の急性効果及び慢性効果いずれにおいても肝臓のインスリン感受性を高めることを示す結果を得た。しかし、この解析方法は糖尿病患者の糖負荷試験の解析(20例)には適用できず、インスリン感受性が計算できない例が大半となっている。このモデルが糖尿病患者も含めて耐糖能異常者に応用できない理由については目下検討中であるが、肝臓からの糖放出を抑制するインスリンの作用が弱い場合にはそれを検出できず、計算が破綻する可能性などを精査中である。また安定同位体標識糖を用いて肝臓からの糖放出を定量する実験系を確立し、遺伝子改変動物の肝糖放出について検討する実験を開始して論文としたJ.Biol.Chem.NatureMedicineなど)。(境界型)糖尿病患者の運動介入による耐糖能の改善について、上記及び外因性糖の経時変化から末梢組織の糖取り込みにたいするインスリン感受性を解析する方法で検討を開始した(現在2例目のトレーニング中)。また血糖持続測定装置を用いて得た血糖の経時変化(5分毎に24時間持続測定)をフラクタル解析し、血糖調節能の新たな解析法を考案し、アメリカ生理学会誌に発表した(2006年)。この血糖持続測定装置を用いて夕食の時刻を遅らせる就寝中の血糖値が高い状態が持続することが明らかになった。このような状況では糖質の酸化が亢進し、脂質の酸化が抑制される可能性が考えられるので、それを解析するために、ヒューマン・カロリメータを用いて就寝中のエネルギー代謝を測定する研究を開始した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (4件)
肥満研究 12
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