研究概要 |
今年度は,運動イメージ統御可能性を測定するため,従来作成されていた紙と鉛筆によるテストを改訂し,コンピュータグラフィクス(CG)版の作成を行った.従来のものとあわせて測定を行い,信頼性および妥当性を検討した結果,信頼性についてはある程度満足できるものであったが,妥当性に関しては十分満足できるとまでは言えず,今後さらに実施方法等を含め検討する必要性が示唆された. また,運動イメージ可視化のための予備実験を行った.課題は2次元での観察が比較的容易で,上半身の動きが中心となるダーツ投げとした.まず,初心者がどの程度の練習で技能学習するかを調べるために,4名の被験者を対象に,ラウンドザクロック方式で1セット60投を1日3セット,それを6日間,合計1080投の練習を行わせ,その学習を検討した結果,ほぼ4〜5日間の練習でばらつきは減少するが,パフォーマンス自体はなかなか上達しないことが明らかになった.しかしながら,動き(投球フオーム>には変化が見られることから,本実験では5日間900投の学習期間とした. 本実験では各セットの前に,これから投げようとするイメージを人形型モーションキャプチャ(マリオギア)で作成することを学習者に求めた.またセット終了後には最後の1投を同様に人形型モーションキャプチャで再生するように求めた.この際、エイミング,テイクバック,リリース,フォロースルーの4ポーズを作成し,これらの時間間隔を変更するようにして,できるだけイメージに近いものを作成するよう求め,その時間制限は設けなかった.その結果,運動イメージの可視化が運動技能学習に有効であるという内省は得られているが,人形型モーションキャプチャの補間方法の問題、ビデオによる実際の画像からのCG作成方法,さらには運動イメージと実際の遂行動作のCGの同時呈示方法などの問題が未解決である.
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