研究概要 |
平成18・19年度の研究において,不活動中に行った2つの異なるトレーニング頻度でのインターバルトレーニング(ITr)は,筋萎縮を抑制することはできたが,最大筋力の低下抑制をすることはできなかった.したがって,本年度の研究では最大筋力を抑制するための手段としてITrに筋力トレーニング(RTr)を加え,不活動中のITrおよびRTrが身体機能に及ぼす影響について検討した.成人男性12名が実験に参加し,20日間の実験期間中に10日間トレーニングをする群(Tr群)6名と非運動群(Cont群)6名に分けられた.ITrは自転車エルゴメータによる片脚ペダリングで,最高酸素摂取量の40%〜80%の運動負荷を計25分間行い,RTrは最大挙上重量の70%の負荷で,10回を4セット行った.随意最大膝伸展筋力では,Tr群とCont群ともに有意に低下した(Tr群;532±178Nから453±131N, Cont群;495±167Nから394±114N)が,最大挙上重量においては,Tr群では維持され,Cont群では有意に低下した(Tr群;138±33kgから152±39kg, Cont群;141±38kgから115±32kg).大腿四頭筋の筋体積は,Tr群では維持され(-0.9%), Cont群では有意に低下した(-8.7%).動的膝伸展運運動に対する骨格筋fMRIの信号変化については,Tr群およびCont群ともに不活動前と不活動後に有意な信号変化は見られなかった(Tr群;Pre, 7.8%;Post, 8.5%, Cont群;Pre, 11.0%;Post, 19.7%).以上の結果から,今回のITrとRTrは,筋機能の一部および筋量の維持には有効な手段であることが示され,今後の宇宙開発における宇宙飛行士や一般人の宇宙観光旅行に対するトレーニングメニューを考慮する際の重要な資料になることが示唆された.
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