研究課題
分岐鎖アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリン)は、筋タンパク質の必須アミノ酸の約35%、食事タンパク質の必須アミノ酸の40-50%もの多くを占めるアミノ酸である。分岐鎖アミノ酸は、タンパク質中の含量が高いこともあって、運動などによりエネルギー代謝が亢進した場合には比較的多く酸化分解されることが知られている。その他に、ロイシンについては、インスリンの分泌を刺激する作用、およびタンパク質合成を促進し同時にタンパク質分解を抑制する作用が知られている。このように、分岐鎖アミノ酸は必須アミノ酸であると同時に多様な生理作用を持つことが知られている。現在、分岐鎖アミノ酸の生理作用の一つとして運動による筋肉痛や筋損傷に対する効果に多くの関心が注がれている。我々は、非鍛錬女子学生16名を2群に分け、二重盲検クロスオーバーで被検者に5gの分岐鎖アミノ酸(Leu : Ile : Val=2.3:1:1.2)入り飲料あるいは等カロリー対照飲料150mLを摂取させ、その15分後にスクワット運動を負荷し、その翌日以降に大腿部骨格筋に発生する筋肉痛に対する効果を検討した結果、分岐鎖アミノ酸を運動前に摂取させることにより、有意に筋肉痛が軽減されることが認められた。この所見は、分岐鎖アミノ酸がスポーツに関連するサプリメントとして有用であることを示唆している。今後、これらの分岐鎖アミノ酸効果のメカニズムに関する詳細な検討が必要である。さらに、ラットにclofibrateを投与して分岐鎖アミノ酸代謝を促進し、血中の分岐鎖アミノ酸濃度を低下すると、肝臓におけるタンパク質合成が低下する可能性があることを発見した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Journal of Nutrition 136,2
ページ: 529S-532S
Life Sciences (In press)