研究課題/領域番号 |
17300211
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
大野 秀樹 杏林大学, 医学部, 教授 (00133819)
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研究分担者 |
木崎 節子 杏林大学, 医学部, 助教授 (00322446)
中野 法彦 杏林大学, 医学部, 講師 (40322721)
桜井 拓也 杏林大学, 医学部, 助手 (20353477)
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キーワード | 運動 / 白色脂肪組織 / 褐色脂肪組織 / 内臓脂肪 / 酸化ストレス / EC-SOD / 脱共役たんぱく質2 / β-アレスチン |
研究概要 |
平成17年度は、次の基礎実験を行った。 1.3種のβ-アドレナリン受容体(β-AR)サブタイプをもつラット白色脂肪細胞を用いて、急性運動(^^・VO_2max 50%以下、1時間)によるβ-ARのtrafficking(細胞膜と細胞質内の移動)調節機構とGタンパク質の変化について検討した。その結果、運動直後から3時間後までは細胞膜上のβ_2-ARが増加し、これはGタンパク質共役型受容体キナーゼとβ-アレスチンタンパクの減少によると考えられた。さらに、β_2-ARの増加は、細胞内cAMPの上昇と連動していた。一方、抑制性Gタンパク質レベルも同時に減少し、26Sプロテアソーム阻害剤(ラクタシスチン)添加実験などから、ユビキチン-プロテアソーム系によって調節されていると推測された。 2.新しいポリフェノールOligonolのマウス白色(HW)および褐色(HB2)脂肪細胞株における抗酸化作用、またはアディポサイトカインなどの遺伝子発現に与える影響を観察した。その結果、Oligonolにより両細胞とも活性酸素量が低下した。このとき、W細胞ではTNF-α、PAI-1などのアディポサイトカイン遺伝子や抗酸化酵素SODアイソザイム遺伝子の発現が低下し、他方、HB2細胞ではPAI-1遺伝子のみが減少した。加えて、両細胞には、Oligonolによる脂肪滴貯留抑制がみられた。 3.経口糖尿病薬・グリクラジドの多機能性を、上皮増殖因子(EGF)とその受容体ErbBを用いてHW・HB2細胞で検索した。その結果、グリクラジドはErbBのリン酸化に影響を及ぼし、両脂肪細胞の増殖を抑制し分化を誘導することから、グリクラジドの新しい機能が明らかになった。 平成18年度は、これらの成果をベースにして、EC-SODを中心に脂肪組織への運動による酸化ストレスの影響を追求したい。
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