研究概要 |
本研究では,競技動作を考慮したパワーアップトレーニングとして回流水槽を利用したパドリング競技のデータモニタリングシステムを構築し,トレーニングに活用することを目的とした。一方パドリング競技や競泳競技では,水抵抗や波抵抗をできるだけ少なくして大きな推進力を得ることが競技力向上にとって大切なこととなるため,パドリングでは艇の推進力とパドリングスキルについて,競泳では選手のフォームの違いによる人体形状の違いについて研究を行った(なお,回流水槽は国立スポーツ科学センタ-(JISS)に設置されている既存の設備を使用した)。1「パドリング技術改善のためのスキル分析」では,オリジナルな計測機器を作成して,パドル力,シートへの加圧分布,ストレッチャーでの力検出を計測して,回流水槽でのローリング角と推進力と関連付けてバイオメカニクス的な手法からパドリング技術改善のためのスキル分析を行った。2「カヌー競技実漕中のスキル分析」では,上述でのスキル分析を水上の実漕中に確認し,フィールドでのスキルチェックのための簡易計測システムを作成した。埼玉県戸田市のカヌーオリンピックコースで,実漕中の艇の映像解析から速度分析を行った。3「競泳競技における水抵抗力や推進力計測と競技力に関する研究」では,主として三次元人体形状計測装置を利用して,競技力との関連性を探ることをねらいとした。各種競泳動作での水抵抗力の推定として,けのび姿勢(ストリームライン),平泳ぎのプルやキックなどの姿勢時の人体形状計測を行った。また異なるスイムスーツの形状や素材が推進力に及ぼす影響に関して,スーツ着用時の人体形状の計測から基礎的な資料を得た。
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