研究概要 |
1.本年度は,(1)アーチ高率の信頼性の検討,(2)足趾筋力評価の妥当性の検討,(3)就学前児童を対象とした足部調査,について実施した。 2.結果の概要 (1)アーチ高率の信頼性の検討 健常な大学生20名を対象として,舟状骨のマーキング練習を行ったトレーニング群(T群)と練習をしなかった非トレーニング群(NT群)に無作為に分け,舟状骨高の値の一致度を級内相関係数にて検討した。また,舟状骨下端および最突出部のいずれが一致度が高いかについても検討した。その結果,舟状骨か単および最突出部のいずれであってもT群・NT群ともに許容できる高い信頼性が得られたが,T群の舟状骨下端における測定値が最もばらつきが少ない傾向が示された。 (2)足趾筋力評価の妥当性の検討 健常者50名を対象として,足趾屈曲筋力と足趾踏力をデジタル握力計で測定し,足趾踏力は足圧分布測定器でも同様に測定した。なお,測定は別な日にも測定して再現性を確認した。その結果,足趾屈曲力と足趾踏力および足圧分布測定の値はいずれも高い相関を示し,いずれも高い再現性が得られたことから,足趾屈曲力によって簡易的に足趾での床を押す力を評価可能であることが示された。 (3)就学前児童を対象とした足部調査について 弘前市内の幼稚園1施設に協力をいただき,幼稚園児236名の足部調査および靴の調査を行った。同時に保護者の靴選びに対する認識についてアンケート調査した。その結果,年少児ほど扁平型のfootprintを呈する割合が高く,外反母趾7.6%,浮き趾73.7%にみられた。年少・年中・年長でアーチ高率の平均は,それぞれ,10.8%,10.2%,11.1%であった。靴は約半数が2E表示であったが,足のサイズ計測からは2Eが適しているものは1/4程度にすぎず,幅広の靴を履いている子どもが多かった。アンケート回収率は78.4%で,大きめのサイズの靴を選ぶという回答が多く,実際に適したサイズの靴を選択できていない可能性があり,これらが足部障害の発生因子となっていることが示唆された。
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