背景 介護予防のための筋力向上を目的とした筋カトレーニングを中高年者が行う際の危険性が従来から指摘されていることに加えて、生活習慣病危険因子に対する影響は十分に明らかにされていない。 研究1 動脈硬化度を増加させないレジスタンストレーニングの実施方法を検討するために、中強度筋力トレーニング、有酸素運動と筋カトレーニングを行なうコンバインドトレーニングの効果を無作為割り付け介入研究で検討した。筋トレと有酸素制トレーニングを同時に行なうコンバインドトレーニングは、筋トレだけを行なう際に見られる頸動脈硬化度の増加を予防することに加えて、筋力と持久力の両方を高めることができた。一方中強度筋トレでは、先行研究での、高強度筋トレと同様に、頸動脈硬化度が増加してしまった。この結果から、筋カトレーニングと有酸素トレーニングを平行して行うコンバインドトレーニングは、介護と生活習慣病の予防を両立することができるトレーニング方法の一つであることが示唆された。 研究2 緊張力維持法いわゆるスロトレの効果を明らかにするために、対照群とスロトレを行う群と高強度通常筋トレを行う群とを比較する無作為割り付け研究を行った。スロトレでは、筋力や筋量の増加が通常筋トレと同程度に見られた上、動脈硬化度を改善する効果や筋血流量を増加させる効果等の生活習慣病予防に有用な適応が見られた。 実践活動 これらの研究成果に基づいて、高齢者の介護と生活習慣病の予防のための筋力向上プログラムを週に一回実施した。この成果は来年度報告できる予定である。また、高齢者に安全かつ効果的に介護予防に取り組んで頂くために、実践方法についてDVDと書籍にまとめて出版した。
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