研究概要 |
1.多成分人工汚染布と綿白布を交互に重ねた積層布に洗剤液を含ませ,円柱(710g)を30cmの距離から落下させると,円柱の接触面の周縁に相当する部分がリング状に明るくなり,汚れが良く落ちる.この円柱落下による布の動きと水流の様子を,水平方向から高速度ビデオカメラにより(6000コマ/秒,シャッター速度1/20000秒,解像度512^*288ピクセル)撮影した.あわせて汚染布の表面反射率測定から洗浄効率を求めこれらの関係を探った. (1)積層布に含ませる0.3%SDS水溶液の量を127,177,250%owf(含水率)として円柱を落下させた結果,含水率が低いほど布はまとまり,圧縮の反動で跳ね上がる距離も小さい.また洗浄性も全体に低い.特に重ねの中層部において低下する.一方含水率が増加するほど円柱の局面に沿う距離が長くなり,しかも布間に存在する液量も多く,跳ね上がる距離も大きい.上層部ではM字型に屈曲が生ずる. (2)含水率177%でSDS濃度を変えた結果,布の動きはSDS濃度の影響をほとんど受けない. 2.交番流洗浄装置のチャネル内に人工汚染布を入れて交番流で洗浄した結果,洗浄性を高めるには適当なチャネル長さが存在する.洗液の一部を空気に置換して気泡とした場合でも,50%置換程度なら洗浄性を維持できる.なおその場合非イオン界面活性剤(AE)では洗浄性が低下する. 3.リマ(ペルー)において、市営の洗濯場で洗濯を行なっている人達への聞き取り調査と洗濯のしかたの観察を行った.その結果,たたき棒を使用すると汚れが良く落ち,特に汚れのひどいデニムなどの厚地に有効である,ということであった.洗い方は,木製のたたき棒を使用し腕の肘を起点に約90°振りおろして何回かたたく方式であった.
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