研究課題
基盤研究(B)
不均一温熱が睡眠に及ぼす影響を明らかにするために、以下の人工気候室を使用した睡眠実験と実生活場面における睡眠調査実験を実施した。(1)人工気候室実験では、被験者の深部温(直腸温、鼓膜温など)、皮膚温10点(前額など)、胸部や足部の寝床内温度湿度、発汗などの体温調節反応や睡眠脳波についても連続計測した。被験者は高齢者男女6名であった。また、就寝前後で睡眠感や温冷感など主観申告を収集した。冬季は気温10℃相対湿度50%を設定し、寝床内に約40℃の温風が風速をほとんど感じない程度で下半身に吹き出した。その結果、主観申告からは入眠を促進し、就寝中に熱さで目覚めることなく、快適であったという申告が認められた。この原因としては末梢部皮膚が高く保たれたためと考えられる。夏季は、暑熱条件(気温32℃、相対湿度80%)、冷房条件(気温26℃、相対湿度50%)、送風条件(気温32℃、相対湿度80%、風速1.7m/s)の3条件を設定し、青年男子8名を被験者とした。冷房条件と比較して、暑熱条件では発汗量が多く、皮膚温は高く、直腸温の低下が抑制され、睡眠効率は低下した。送風条件は冷房と暑熱条件の間ぐらいの発汗量、皮膚温、直腸温低下度となったが、睡眠効率は冷房条件とほぼ同じであり、睡眠の改善効果が確認された。(2)独立住宅ならびに公的高齢者施設居住の高齢者を対象に、四季について周囲温熱環境の実測調査と、アクチグラフを装着して生活してもらい、就寝前後のアンケート調査ならびに着衣量や温冷感についての申告を収集した。その結果、戸建て住宅居住の高齢者の温熱環境は夏季に高温・高湿、冬季に低温であり、夏季に有意に睡眠効率は低くなっていた。高齢者施設では、冷暖房の入る時刻が限られているものの、独立住宅の居住環境よりは夏・冬ともにやや低温・高温となり、睡眠効率に季節差は認められなかった。これらより、夏季および冬季に安全で快適な寝室空調条件を検討した。
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Int J Biometeorol 52(4)
ページ: 261-270
Journal Int J Biometeorol 52(4)
Book Science of sleep and its application-Research and development on technique of sensing sleep and keeping good sleep
ページ: 187-202