研究概要 |
1.高圧力を利用した充填豆腐の製造条件 加熱凝固法より省エネルギータイプの高圧豆腐の製造方法を検討した。豆乳300gに市販豆腐と同じ凝固剤4g添加し、600MPa、50℃で30分加圧処理、あるいは500MPa、50℃で60分加圧処理した豆腐が、タンパク質のゲルネットワークが均質で、表面が滑らかで程よい硬さに凝固し、舌触りが良かった。 2.モモのペクチン質・組織・物性の測定と高圧ジャムの試作 清水白桃の成熟(硬熟・完熟・過熟)、保蔵(21℃追熟)、煮熟・高圧処理による軟化とペクチン組成、組織変化の関係を調べた。硬熟から完熟になる過程で急激に軟化し、細胞壁中層が開裂し、手で皮が剥ける状態となる様相が電顕観察された。モモには低分子量の水可溶性ペクチンの割合が多く、成熟、保蔵により顕著に増加した。煮熟するとβ脱離したペクチン質が煮汁に溶出し一次壁に緩みを生じ軟化したが、真空包装して煮熟するとpHが低いため,高圧処理ではβ脱離しないため軟化しにくかった。高圧ジャムは香りがよいが,ペクチンが少ないため軟らかかった。 3.ユズのペクチン質・組織・物性の測定と高圧マーマレードの試作 柑橘類はペクチンを多く含むためマーマレードにできるが,加熱により香りが消失し苦味が増す。クエン酸に浸漬して果実を軟化させペクチンを溶出させた後、高圧力処理することより、風味のよいユズジャムをつくる方法を検討した。外果皮をpH2.0、中果皮、内果皮と果肉をpH2.5のクエン酸溶液に0.5、3、5、8、24時間浸漬し、これに最終糖度50%および60%となるように蔗糖添加した試料を500MPaで30分間高圧力処理、または100℃で10分間加熱処理してマーマレードを作製し比較した。糖度50%高圧処理したマーマレードの総合評価が最も良く、高く評価された。高圧力処理のほうが加熱処理したものより果物本来の色と香りが保たれていた。
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