研究課題
1.モモのペクチン質・組織・物性の測定と高圧ジャムの試作1)白桃の開花後70〜130目間の果実細胞壁の硬度、水溶性ペクチン、水溶性多糖類、ポリガラクツロナーゼの変動について調べた。組織の破断強度は成熟中にほぼ直線的に減少したが、食感的には完熟期に急速に軟化が進んだ。完熟期にポリガラクツロナーゼ活性が急速に増大し、それに伴いペクチンと多糖類が急速に水溶化した。開花後126日には細胞壁中層が裂け一次壁の緩みが大きくなった。これらの形態学的変化はペクチンや多糖類の可溶性化によるものと考えられる。2)アントシアニン量の異なるモモを用いて、1cm角に切ったものと、ミキサーで磨砕したものを2:1の割合で混合し、pH2.7、糖度60%、ペクチン添加のジャムを高圧力、加熱、加熱濃縮処理により作製し品質の比較を行った。アントシアニン量は日川白鳳<紅清水白桃<清水白桃<川中島白桃の順に多かった。川中島白桃のジャムはアントシアニン量が多かったためa値が高かったが、b値(黄色度)も高かったため、ジャムの色の評価は日川白鳳>紅清水白桃>川中島白桃の順であった。モモジャムの粘性、動的粘性率、弾性は加熱濃縮ジャムが低く、品種により大差なかった。官能検査は高圧力処理ジャムの総合評価が高く、次いで加熱ジャムで、加熱濃縮ジャムは低かった。2.イチゴのペクチン質・組織・物性の測定と高圧ジャムの試作イチゴには低分子量の水可溶性ペクチンの割合が多く、高圧力処理、加熱処理、糖・酸浸漬により高メトキシルペクチンの割合が減少した。酸・糖浸漬すると低エステル化度ペクチンが増加した。高圧力処理、加熱処理、糖・酸浸漬(pHが低下するほど)により、細胞壁が緩み、軟化した。高圧ジャムのほうが加熱ジャムより色、香り、総合評価がよかった。イチゴは0.4%ペクチン含量だったため、ペクチン添加ジャムの方が良い評価が得られた。
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日本調理科学会誌 42巻
ページ: 9-16
ページ: 1-7
高圧力の科学と技術 18巻
ページ: 133-138
日本家政学会誌 59巻
ページ: 871-879