研究課題/領域番号 |
17300238
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
木内 幹 共立女子大学, 家政学部, 教授 (00224890)
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研究分担者 |
田中 直義 共立女子短期大学, 生活科学科, 教授 (90099367)
村橋 鮎美 共立女子短期大学, 生活科学科, 助手 (60399227)
三星 沙織 共立女子大学, 家政学部, 助手 (50398583)
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キーワード | 食文化 / 食品 / 発酵 / 応用微生物 / カンボジア:ミャンマー / シエンの細菌 / 菌株の同定 / Bacillus subtilis |
研究概要 |
1.前年度カンボジアで採集した大豆醗酵食品であるシエンについて、揮発性物質と遊離アミノ酸の分析を行った。いずれの物質も試料により分析値に多様性が見られ、醗酵させた大豆を食塩水中で熟成させる際に微生物が関与していると予想できた。 2.前年度採集したシエンからは134株を分離した。1次スクリーニングで蒸煮大豆に分離菌を接種して糸引納豆に利用できると見なした菌株43株について、2次スクリーニングでは納豆の製造を行って10株を選抜した。それらの10株菌株をBergeys Manual of Systematic Bacteriology第2巻に準拠して同定を行った。 3.分離した10株のnutrient agar平板上に生育したコロニーは、白色を呈し、かつ皺状であった。10株ともグラム陽性の桿菌で、胞子を形成した。そのサイズは、いずれも直径が1.0μm以下であった。カタラーゼ陽性、嫌気的条件では生育せず、7%食塩を添加した液体培地では生育し、硝酸塩還元性が陽性であった。以上の結果、分離菌はすべてBacillus属の矮小菌に属する株で、Bacillus subtilisであると同定した。 4.ミャンマー東北部のシャン州で現地名でペーポと称されている大豆醗酵食品の採集と調査を行った。煮た大豆を植物葉に包んだり、カゴに入れて醗酵させており、スターターを用いたり、温度管理を行っているという例を聞かなかった。醗酵終了後の大豆に調味料を添加して熟成させるが、食塩、ショウガ、トウガラシなどの使用量には製造者により多様性があった。市販されている製品の形状は、センベイ状に成型した物が多く、他にペースト状の物も見られた。聞き取り調査を行った範囲内において、製品は火であぶったり油で揚げて食べられており、醗酵終了直後の大豆をすぐに食べることはない、という話であった。
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