研究課題
ビタミンE同属体の中でα-トコフェロール(α-Toc)が際立って高いビタミンE活性を示すのは、肝臓に存在するα-Toc輸送たんぱく質(αTTP)がα-Tocと特異的に結合してVLDLに運び全身に輸送するからである。ビタミンE同属体の生理活性を決ある鍵となるαTTPの遺伝子を欠損させたマウス(αTTP-KOマウス)を用いて、ゴマ摂取によるビタミンE濃度上昇の機構を検討した。ゴマリグナンはラットや細胞レベルの研究と同じようにαTTP-KOマウスでもビタミンE代謝物であるカルボキシエチルヒドロキシクロマン(CEHC)の尿中への排泄量を減少させたが、生体内ビタミンEは殆ど変化しなかった。しかし、脳への取り込みはゴマ摂取でわずかではあるが有意に上昇した。αTTP以外にビタミンEの.取り込みや排出に関与するたんぱく質として、SR-BIやABCA1が注目されているので、αTTP-KOマウスでのSR-BIやABCA1の発現量に及ぼすゴマ摂取の影響を調べる目的で、これらたんぱく質のmRNA量をRealtime PCR法で検討した。今回の実験では、これらたんぱく質の発現量には有意差は認められなかった。ゴマやセサミン投与で尿中α-およびγ-CEHC量は有意に減少は、ラット、マウス、αTTP-KOマウスに共通して認められた。しかし、生体内ビタミンE濃度はラット、マウス、αTTP-KOマウスで大きく異なり、ゴマによる生体内ビタミンE濃度上昇効果にαTTPおよびαTTPとの親和性が重要であることがわかった。
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