研究課題
平成18年度、私たちは、第2下位課題の「認知モデルと情意モデルとの統合問題」について、主に理論的な研究を行ってきた。私たちは、Piagetの考え方、「情意は知能の機能の一部である。『エネルギー論』としての情意は、特定の対象や特定の考え方に個人的な興味を抱かせるものであるという点で、認知構造であるシェマと結合させることができる。なぜなら、エネルギー論としての情意は、問題解決にどのように取り組むかという選択に個人的な影響を与え、価値を見出す過程に影響を与えるからである」に、基本的に同意するところから研究を始めた。つまり、従来の認知モデルと情意モデルという人工的な二分論を改め、コミュニケーション連鎖の創発性の問題に取り組むためには、認知モデルと情意モデルの統合という問題は避けて通ることができない課題であると位置づけたのである。タイ王国コンケン大学Inprasitha博士の協力によって進められた本年度の研究で明らかになってきたことは、認知モデルと情意モデルの統合には、「認知評価」と「情動」という概念が有効だということである。つまり、情意という私たちの感情に関わる問題も、認知評価と情動という概念を持ち込めば、思考という枠組みの中に組み込んで考えることができるということである。本年度の研究成果の概要を述べると以下のようになる。「数学の問題解決の最も情意的な反応の起源は、情動的な反応である。学習者が問題を解決しようと試みているとき、学習者は、これまでの経験や知識を思い起こす。この記憶の想起に対して、学習者たちは、一度想起された知識群(シェマ)を認知的に評価する。この認知的評価がいわゆる情動を引き起こす。」この研究成果をもとに、平成19年度は、認知・情意モデルをより精緻化して、事例の分析と考察に進む予定である。
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F. K. S. Leung, K. et. al. (eds.) Mathematics Education in Different Cultural tradition. Dordrecht : Kluwer.
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日本の算数・数学教育2006(日本数学教育学会編) Yearbook 6
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Japan-United States Teacher Education Consortium
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新編 算数科教育研究(算数科教育学研究会編)
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日本数学教育学会学会誌『算数教育』 88・12
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日本科学教育学会第2回研究会「新世紀型理数系教育とICTの活用」 (印刷中)