研究概要 |
平成19年度,私たちは,第3下位課題の「認知、情意モデルに基づくコミュニケーション連鎖の分析と考察」と,第4下位課題の「認知、情意モデルの精緻化」について研究を行ってきた。研究3年目にあたる平成19年度に私たちが計画してきたことは,研究の目標として掲げてきた5つの目標のうち,目標(3)と目標(4)の達成をめざすことであった。平成19年度に私たちがとってきた研究の方法論は,タイ王国コンケン大学のMaitree Inprasitha博士が提案している情動モデルをベースに,私たちが築いてきた認知モデル論を融合させながら,新たな認知、情意モデル構築し,その理論を基に事例の分析と考察を行い,そうした考察の結果を理論モデルの精緻化に利用するというものであった。平成19年度に掲げた2つの目標に対する研究を概要すれば,以下のように述べることができる。目標(3)について,私たちは,日本数学教育学会に寄稿した「無作為の創造-数学学習におけるコミュニケーションの創発連鎖-」において,創発という現象を丁寧に分析し,考察を行った。また,目標(4)については,群馬大学教育学部紀要に「数学の問題解決における情動的な経験に関する基本モデル」と題する論文を書いて,認知評価という視点から,情動を捉えるための基本モデルを提案した。4年間の継続研究の最終年度となる平成20年度には,「目標(5)聴覚障害児の数学学習におけるコミュニケーション連鎖の創発性とその可能性に関する考察」を行い,4年間の研究成果としてまとめを行う予定である。
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