1.バングラデシュ初等理科、ザンビアの中等化学、カンボジアの中等生物・物理の各教科について、教科書・シラバスの分析を実施した。 2.バングラデシュ、ザンビア、カンボジアの教員養成および学校現場における理科授業の分析を行った。その結果教師中心の教え込みが多く、生徒の実験観察活動はほとんど行われていない実態が明らかとなった。その原因は、実験機材の不足は大きな要因ではあるが、教員養成段階で基本的な実験指導が適切になされていないことも要因である。教育現場の環境に合わせた実験観察の導入が急務である。 3.ケニアと日本の高等学校物理・生物の授業比較分析を行った。ケニアの教員再訓練において、生徒の活動を重視したプロジェクトが進行中であるが、「生徒に考えさせる」場面が少ないことが示唆された。 4.明治期から昭和期にかけて、理科実験観察に関する教師用書・生徒実験書を収集し、内容の分析を行った。現在の日本の学校ではあまり実施されていない材料・器具・方法などで、開発途上国の現在の実態に適合したものもあり、情報の共有が必要である。ほとんどの著書は絶版となっているが、直接のコピーは著作権法の問題があるので、実験観察を再現・改良して映像化し、系統立てて実験支援ツールを開発する準備を行いつつある。 5.アジアにおける教員再訓練プログラムの開発と改良を目指して、フィリピン大学理数科教師訓練センターにおける理科教師研修に関して、日本人や外国人学生のインターンシップ派遣を行い、研修プログラムの改善について調査を始めた。結果を早急に纏め、本課題の最終年度である平成19年度で集約する。
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