研究課題/領域番号 |
17300260
|
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
鈴木 栄幸 茨城大学, 人文学部, 助教授 (20323199)
|
研究分担者 |
加藤 浩 メディア教育開発センター, 研究開発部, 助教授 (80332146)
葛岡 英明 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 助教授 (10241796)
稲垣 成哲 神戸大学, 発達科学部, 教授 (70176387)
山下 淳 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 講師 (80345157)
望月 俊男 神戸大学, 学術情報基盤センター, 助手 (50379468)
|
キーワード | 納得 / 説得 / 対話理論 / プレゼンテーション / 情報教育 |
研究概要 |
本研究の目的は、「納得すること」を現代社会に生きる人々の必須技術として取り上げ、その過程を明らかにし、「よい納得者になるため」の教育手法と訓練システムを開発することである。 今年度は、まず、相互的・社会的納得観の提案、概念整理をおこなった。従来の受動的・個人的納得観に変わるものとして、相互的・社会的納得観に基づく納得概念を明確化した。バフチンのコミュニケーション理論やアクターネットワーク理論に関する文献研究をするとともに、人を納得させようとする場面のエスノグラフィー的調査をおこなった。調査は、ある具体的なプレゼンテーションの準備と実施の場面を最初から最後までビデオに収め、そこからトランスクリプトをおこし検討するというものであった。この調査より、納得が、人と人工物からなる社会的ネットワークのアレンジメントとして達成されていることが明らかとなった。このような新しい納得観について、論文にまとめ公表した。 次に、納得訓練手法の検討をおこなった。「対話をとおした合意(納得)形成能力」と「自分の納得内容の社会的説明能力」を納得教育の基本的な柱として、そのための訓練手法を検討した。具体的には、「代理説得」手法の検討をおこなった。代理説得とは、自分が納得した内容を自分のものとして他者にむかって説明をおこなう活動である。アイデア発信者と自分という2者関係ではなく、発信者と仲介者としての自分と、説得すべき他者という3者関係を組みいれることで、動的な納得が得られると期待される。この手法は、大学生のプレゼンテーション授業をフィールドとしてテストした。質問紙調査の結果、代理説得という手法が、学生の「納得力」を高めることが示唆された。今後、実験場面の細かい分析をおこなう。 来年度は、これらの結果をふまえて、納得訓練システムの基本仕様の決定、試作をおこなう予定である。
|