研究概要 |
本年度の研究実績を以下に示す。 1 カメラとペン位置検出装置を併用したカメラ視野の高速移動方法(動的映像観測システム) 臨場感のあるeラーニングシステムを実現するためには,パン・チルト・ズームができるカメラの動作速度が問題となっている。すなわち,現在のカメラ視野決定システムは,研究室で作成したソフトウェアで動作しており,動作速度が遅く,講師が少し早く移動した場合,講師の動きに追従できていない。そこで,今年度このシステムのソフトウェアの高速化の研究を行い,時間遅れが1秒以内となるようにカメラ視野の高速移動アルゴリズムを新たに考案し,実際の大教室(定員90名)で評価実験を行った。しかしまだ目標値に達成しておらず,改良すべき点が多数あることが明確となった。 2 教科書の電子化(テキスト形式知識メディア) 現在,全文が電子化され,公開されている高等教育用教科書が少なく,本研究を実施するための教科書データベースの不足に問題となっている。そこで,イメージスキャナを活用してパーソナルコンピュータでOCRソフトウェアにより電子化を行った。 3 板書した文字列を対象とする高精度文字列認識(高精度手書き文字認識) 講師がホワイトボードに筆記する文字列は,筆者らが従来から研究対象としていた紙面上の文字と異なり,ホワイトボードではペンのすべりが大きく,従来の文字認識ソフトウェアで文字認識を行うと,実用レベルの文字認識精度を得ることはできなかった。そこで,この問題を解決するために,教科書からキーワード84単語を事前登録し,登録したキーワードを単語辞書として板書画像から自動認識する方法について検討し,5人の筆記者に対するキーワード認識率が32.1%から88.1%に向上した。
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