インターネット上の遠隔講義には、リアルタイムの同期型とVODなどの非同期型がある。リアルタイム双方向型の講義では、学生-教師間のコミュニケーションが保証されるが、遠隔講義の利点である時間的空間的自由度のうち、「時間的」自由度が制限される。これに対して非同期型は、時間的空間的自由度が高いが、教師-学生、学生同士のコミュニケーションが欠落するという問題点がある。そこで、本研究では、非同期型システムの利点を維持しつつ、コミュニケーションを支援するシステムを開発することを目的としている。平成17年度に具体的に実現した内容は、 (1)実際には同じ時間帯に学習していない学生同士が、e-Learning Systemの教材の学習進行に沿って行われた質疑応答を共有できるシステムを開発した。これによって、仮想的集団学習を実現した。 (2)e-Learningでは、学習内容に疑問が生じたときに、素早い回答が求められていることを明らかにし、疑問解消支援機能を持つ掲示板システムを開発した。 (3)e-Learning Systemで学習中の感情を発信できる機能、学習したい場面を見つけるための動画像検索機能、孤独に陥りがちな学習者を支援するために他学習者の学習進捗状況を知ることのできる機能等を付加した。また授業評価も行えるようにした。 (4)企業内教育システムにおいて、熟練技能者と若手技能者がWeb上でコミュニケーションを行う際の支援システムを開発した。 であった。18年度は、システムの中・長期的な運用を行い、その使用結果をふまえて、仮想的集団学習に必要な要素、非同期型システムでのコミュニケーションに特徴的な要素等を抽出し、それらをシステムに実装していく予定である。
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