研究課題/領域番号 |
17300274
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
浅田 匡 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (00184143)
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研究分担者 |
野嶋 栄一郎 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (20000086)
佐古 秀一 鳴門教育大学, 学校教育学部, 教授 (30153969)
淵上 克義 岡山大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (20202294)
魚崎 祐子 早稲田大学, 人間科学学術院, 客員講師(非常勤扱い) (20386650)
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キーワード | 校内研修 / 協働 / メンターシップ / SBCD / リフレクション / 初任者研修 / 授業研究 / 教師の力量発達 |
研究概要 |
校内研修における研究主任等の役割を探るために、所沢市内2小学校の校内研修における事後検討会の話し合いの分析を行なった。方法は、テキストマイニング法を用いた。その結果、現状の校内研修においては、授業やカリキュラムに関する実践知を伝達するに鍵となるトランスフォーマーや知識コーチといわれる役割が必ずしも機能していないことが明らかになった。また、全校での校内研修は具体性に欠け、研究授業を反省的に検討することもやや難しいことが示唆された。また、教師同士の教え合い(実践コミュニティ)の可能性を探るために、初任者教師に対するメンターの働きかけを分析した。その結果、心理社会的なサポート面が強く、授業実践にかかわるキャリア面の働きかけが少ないことが示された。同時に、キャリア面のメンタリングにおいては指示が多く、学級及び授業経営に関しては問いかけが多くみられた。これらの成果の一部はヨーロッパ教育学会で発表された。 学校組織心理学の視点から、校内研修による教師集団の学校組織へのコミットメントの変容を明らかにした。その結果、研修の形態(講義形式、ワークショップ形式など)と研修内容と教師のニーズとの適合度によって、教師集団のコミットメントは影響されることが示された。この成果の一部は、日本教育心理学学会第50回総会において発表された。 以上から、わが国の校内研修はレッスンスタディとして現職教育に有効だとされているが、多くの問題を内包しており、学校を基盤としたカリキュラムを開発していくためには、研究の形態などとともに、トランスフォーマーや知識コーチといった役割を果たす中堅教師の育成が重要であることが示唆された。さらに、校内研修を改善していくためには、何かしらのプログラムや道具といった仕組みを開発し、学校現場に導入していくことの有効性も示された。
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