研究概要 |
本研究の目的は,インターネット利用者が検索エンジンを用いた情報検索を行う際の思考過程と知識流通過程について,1)心理学的な観点から詳細かつ総合的に理解すること,2)教育現場におけるリテラシー教育に応用すること,3)情報システム開発におけるインタフェースの開発・改良に活用することの3つである.単独,および,2名の協同作業による,インターネットのサーチエンジンを用いた情報検索場面を想定した2つの心理学実験をおこなった.検索という認知活動の最終生産物として得られる検索結果の正誤だけでなく,その動的でインタラクティブな認知過程を捉えるために,1)デジタルビデオカメラによる録画とPCの画面記録による検索状況および検索画面の記録2)インタビューによる言語プロトコル収集,3)非接触アイカメラによる視線探索方向の計測,という3つの方法を用いて,可能な限り詳細なレベルで検索者の思考過程を記録することを試みた.データ分析において着目したのは,1)検索のためのキーワードがどのように選定されるのか,2)情報探索者の既有知識とそれまでの検索結果がキーワード選定にどのように関わっているのか,3)キーワードの取捨選択における判断基準として何が用いられているのか,の3点である.単独実験からは,検索中のキーワード選定に着目した分析を行うことによって,検索時の探索者の思考プロセスを考察した.協同実験からは,検索という問題を解くにあたり,必要な情報を互いに問い合わせつつ解決していく「知の伝達プロセス」を考察した.
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