本年度の研究成果としては、研究代表者佐藤が幾つかの和算史料所蔵機関を現地調査したことが挙げられる。4年間の研究期間の初年度として、今年度はその準備調査として位置付ける調査を行っている。実際に調査に赴いた機関と成果の概要を以下に列記する。 ・宮城県図書館所蔵伊達文庫、養賢堂文庫(関流の和算を継承した仙台藩士の和算家を調査した。散逸したと思われていた『関算四伝書』の一部である『数度衍』を再発見した。平成18年度に口頭発表の予定。) ・山梨県立博物館所蔵甲州文庫(関孝和も関わっていた甲府藩の検地帳を網羅的に調査した。現在のところ、関孝和の自筆と思われる検地帳は発見されていない。) ・富山県氷見市立新湊博物館(和算家石黒信由が描かせた関孝和の肖像画について調査を行った。その成果については平成17年9月、越中史談会で「関流和算家としての石黒信由」として口頭発表をした。) なお、今年度は予備的、準備的な調査が多かったため、口頭発表は幾つか実施したものの、論文・著書としての成果としてはいまだまとめられていない。概説としては、著書を一点刊行しているが、本格的な成果については18年度以降に順次公表する予定である。
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