本年度中に実施した研究の実績は以下の通りである。 1.日本学士院ならびに東北大学が所蔵する関孝和編とされる写本について、テキストの内容の照合、異同の実態を調査した。調査をした書名は、以下のものである。 (1)『解見題之法』(2)『解隠題之法』(3)『解伏題之法』(4)『開方飜変』(5)『方陣之法』(6)『題術辨議之法』(7)『乾坤之巻』(8)『規矩要明算法』 2.神宮文庫(三重県)において現地調査を実施し、以下の写本の内容を確認した。 (1)『八法略訣』(2)『開方飜変』 3.国立天文台において、下記の写本の内容を調査した。 (1)『天文大成三條図解』 上記の調査内容はいずれも、本研究が目標とする『関孝和全集』の編纂に必要な基礎データをあたえるものである。各写本の字句の異同、図式の精粗などを比較することで、関孝和の業績の復元を試みる手がかりを得ようとするものである。 本年度の成果の一部については、研究代表者佐藤が一件、口頭発表を実施した。(「沢ロー之の免許状について」、日本科学史学会年大会、平成18年5月)また、平成20年度の最終的な成果公開に向けて、岩波書店との間で『関孝和著作集』(仮題)の編集刊行作業を実質的に協議し始めた。
|