研究分担者 |
黒崎 直 富山大学, 人文学部, 教授 (60000494)
宇野 隆夫 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (70115799)
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 教授 (10135387)
矢田 俊文 新潟大学, 人文学部, 教授 (40200521)
高原 光 京都府立大学, 大学院・農学研究科, 教授 (30216775)
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研究概要 |
日本では地震は頻繁に起き火山活動も活発で,自然災害を被った遺構や遺跡は多い自然災害を受けた遺構において,痕跡を判別し災害時の様子を知ることは考古学でも重要で自然科学(地震・火山学)とリンクずる研究である.本研究では,遺構・遺物に残された自然災害及び戦禍の痕跡を探る研究手法の開発を主要目的とした.熱残留磁化,物理探査及び放射性炭素年代法による研究を中心に,考古学や文献資料で知られる対象に適用した. 沖縄県久米島の具志川城遺跡では,石灰岩で築かれた石垣の磁化から戦禍の影響を検証できた.堆積岩からなる石垣が熱残留磁化を獲得しており,テリ工法実験から210度の被熱温度が推定された.更に地磁気変.動との対比から戦禍の時期は16世紀中頃と推定され,これは古文書の研究と良くあった.地震被害を受けた痕跡として遺跡での噴砂の残留磁化は,地震の時代推定に有効とわかった.富山県高岡市の石塚遺跡では8世紀の貞観地震の噴砂を検証し,富山市小出城遺跡では19世紀中頃の安政地震の噴砂を検証した.また北海道江別市対雁遺跡に現れた噴砂の年代は12世紀初めと求められ,札幌市も含めて当時の大きな地震被害との関連が推測された.さらに噴砂の地下での状況を地中レーダ探査が明確に捉えることができることも判明し,従来行えなかった噴砂の年代推定が可能となったことと併せて重要な成果となった.遺跡への水害の研究として,富山県砺波市の奈良時代の荘園遺構において河川の洪水氾濫で埋まった用水路(大溝)の堆積物を研究し,残留磁化から氾濫の年代と大溝での堆積過程を推定できることを示した.
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