研究概要 |
(1)文献資料及び写真資料の収集整理研究代表者が1984年以降数次にわたって山西省において実施してきた調査で収集した該当地域所在の石窟寺院の写真資料をディジタル化して整理した。 (2)現地調査と研究会の実施当初計画においては、山西省太原市から太行山脈にいたる北回りルートの13カ所の石窟寺院において調査を実施する予定であったが、「中国の境界内における外国人による測量に際しての法律」が施行されたのにともない、本調査を所管する国家文物局が8月になって中国側に通達してきた内容によって、すでに国家文物局によって測量を伴う考古学的調査は認められていたものの、中国国土資源部をはじめとする関係部門への調査申請をし直すことになった。このため、測量を必要とする調査を中止し、8月末から9,月初めの日程で、測量技術を中国側に移転することを目的とする講習会と研究会を山西省考古研究所及び山西省博物院において実施した。太原市所在の天龍山石窟においては、写真撮影を主体とした調査を実施するとともに、中国側メンバーが測量実習を行うのに立ち会い、これを指導した。再申請の結果を待って、年度内での調査実施を目指したが、結局回答はなく、測量を主体とする考古学的調査は実施できなかった。 (3)調査資料の整理昨年度に実施した南回りルートの調査と今年度に実施した天龍山石窟での調査で収集した画像資料及びノートを整理保存した。 (4)地図情報システム(GIS)に関する研究測量及びGPSによる位置情報取得による調査についての再申請を行い、その回答を待っている状態であるため、現地調査によるデータは少ないが、中国国家文物局編『中国文物地図集』(山西分冊)に網羅的に報告されている山西省内石窟寺院の位置をその地図に示されたポイントから類推し、地図情報を作成して、GISによるシミュレーション的なデータ蓄積とそれに基づく解析研究を進めた。
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