研究概要 |
さいたま新都心における「けやきひろば」での屋上緑化効果の基礎的研究は、ほぼ17年度と同様の内容で春夏秋冬各季節について実施した。特に今年度は「にじみ出し」現象と林内気象の立体構造の把握に努めた。「にじみ出し」現象は普通の公園緑地で見られる冷気流出ほど顕著ではないが、僅かに局部的にケヤキ林内の低温空気が林外へシフトする様子は見られた。立体構造に関しては冬の結果しか得られなかったが、ひろば内では樹冠部の気温変化が大きいが,樹冠部の下はあまり影響を受ない。ひろば内より外の方が常に気温が高く,気温の逆転は見られない、などのことが明らかになった。 熊谷市および周辺地域を対象とする航空機からのハイパースペクトルセンサーでの熱画像撮影は18年度も夏季に実施した。当日、グランドトレースとして地上でも気温などの気象の移動観測を平行して行った。熊谷市の都市構造物の配列とか道路網の配置とラフネスパラメーターの分布との関係をリモセン技法で明らかにした。 立正大学熊谷キャンパス内での特殊舗装装置における実験もほぼ前年度同様の方法で、春夏秋冬各一昼夜にわたる自動記録と「熱画像装置アイスクエア」およびサーマルトレーサーによる表面温度の観測も併せて実施した。なお、今年度はこれに加え、立正大学屋上において、屋上緑化のモデル実験も開始した。前者では加熱されやすいアスファルトやコンクリートよりもエコプレート(保水性)とかセラミックブロック(透水性)などの舗装面が暑熱環境緩和に効果があることを明らかにした。後者では屋上にツツマンネングサなどの草を植えた面とコンクリート面との比較観測を夏から冬にかけて実施した結果、草地面の方が低温であるが蒸発しにくい植生のため意外に冷却度は小さいことが分かった。
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