研究課題/領域番号 |
17310002
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大島 慶一郎 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (30185251)
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研究分担者 |
若土 正曉 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60002101)
江淵 直人 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (10203655)
三寺 史夫 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (20360943)
深町 康 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (20250508)
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キーワード | オホーツク海 / 海氷 / 東樺太海流 / 宗谷暖流 / 海氷予報 / 数値シミュレーション / 油汚染 / 水位 |
研究概要 |
昨年度まで行ってきた高精度3次元海洋モデルにより、東樺太海流域での海水・海氷・油の流動はかなり精度よく予測できることが示された。今年度は、再現性が不十分であった宗谷暖流域に焦点を絞って、観測データの解析とモデルの改良を行った。まず、海洋レーダー・過去の海洋観測データ・超音波ドップラー流速計データから、宗谷暖流の流量の季節変動を明らかにした。流量は年平均で約1(Sv)、8月に最大となり(約1.5Sv)、1月に最小となる(約0.3Sv)。さらに、稚内-網走の水位差から流量を見積もる経験式を提案し、それに基づいて流量の経年変動とその原因を調べた。その結果、流量変動の大きい秋・冬季に関しては、樺太東岸沿いの風応力が水位(差)を決め、さらに宗谷暖流の流量の変動をもたらすことがわかった。このような変動機構は、5-20日周期程度のシノプティックな変動に関しても適用され、岸に平行に吹く風により誘起される陸棚波によってセットアップされる水位が重要となることがわかった。海洋モデルにおいても、日平均の風で駆動すると、同様な機構で宗谷暖流が変動し、現実をよく再現できることもわかった。昨年までの結果とあわせ、東樺太海流域から宗谷暖流域にいたる海域の流速変動を非常によく再現できるモデルを、その変動機構と合わせて提出することができた。このモデルに粒子追跡法を取り入れることで、海氷・油の流動もそれなりの精度で予測可能となる。 本年度はさらに、オホーツク海の海氷の広がり・面積を予測するモデルを提出した。年々の最大海氷面積は、太平洋から流入してくる海水の表層温度が強く効いていることを明らかにした。海氷面積が最大となる季節の3ケ月前の時点で、この海面温度とオホーツク北西部の気温を用いると、高い確度で最大海氷面積を予測できることを示した。
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