研究概要 |
昨年に引き続いて熱帯における降水の日変化と地形影響について,TRMMによる長期間の雨量観測データおよび数値モデルにより分析した.スマトラやボルネオ島での降水の日変化は海岸から100km程度の地域と内陸では大きく異なること,従来の積雲対流のパラメタリゼーションを仮定した静力学平衡モデルでは日変化の位相の再現が難しいこと,高解像度の非静力学平衡モデルによれば,沿岸の海上と陸上の両方の降水の変化が再現可能なことなどが明らかとなった. モンゴル高原において,衛星による雲画像と現地観測降水データを利用した,降水の日変化特性を調べた.この結果,モンゴルの降水は基本的には総観規模のトラフの影響下にある時に生じているがトラフの強引こよって降水に日変化が現れるときと,そうでないときがあることが明確になった.流域スケールの降水の地域分布は,日変化のある時とないときでは,我が国でみられるような顕著な違いは生じないことも明らかとなった.同様な研究をタイの降水についても実施した.またチベット高原の顕熱や積雲対流による加熱の影響がモンゴルやベンガル湾の降水に及ぼす影響についても,数値モデルにより調査した.
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