研究概要 |
平成20年度も北海道大学練習船おしょろ丸夏期航海に参加者派遣し、ベーリング海および北太平洋中部亜寒帯において北海道大学研究チームと連携してセディメント・トラップの揚集ならびに再設置を行った。ベーリング(Station AB)海ならびに北太平洋中部亜寒帯海域(Station SA)にて継続収集してきた長期時系列セディメント・トラップ沈降粒子フラックス試料を解析した。得られた膨大な量の試料のうち、未処理試料の分析・解析を推進した。全乾燥重量化学分析・群集分析を推進し、論文執筆活動も行なった。気候変動の立場から長期的な沈降粒子フラックス変動を考察し、更にPacific Decadal Oscillation(PDO), Arctic Oscillation(AO), El Nino Southern Oscillation(ENSO)などの長期的変動パラメータとの関連の理解を深めた。また、中部亜寒帯海域との比較の為、1997-2000年に得られた北太平洋亜寒帯西部海域の Stations KNOT, 40°, 50°,および2001-2003年に回収されたStations K1, K2, K3のセディメント・トラップ試料のうち珪藻、珪質鞭毛藻、レディオラリア(放散虫)フラックスについての研究も推進した。更に、先に西・中部赤道太平洋で得られたセディメント・トラップ沈降粒子フラックス試料のうち未解析の試料を解析し、出版事業を展開した。この研究では、エルニーニョ・ラニーニャ現象の動向とフラックス変動の理解を深めることが出来た。特に珪藻およびレディオラリア群集の環境変化によって変化するフラックス変動パターンの詳細を明らかにし、エルニーニョ期・移行期・ラニーニャ期における水塊の東西方向の移動とそれに伴う沈降粒子フラックス群集の変化を解明した。
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