研究課題/領域番号 |
17310014
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
今村 隆史 独立行政法人国立環境研究所, 大気圏環境研究領域, 領域長 (60184826)
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研究分担者 |
猪俣 敏 独立行政法人国立環境研究所, 大気圏環境研究領域, 主任研究員 (80270586)
佐藤 圭 独立行政法人国立環境研究所, アジア自然共生研究グループ, 主任研究員 (10282815)
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キーワード | 光化学反応チャンバー / イソプレン / エアロゾル生成量 / オゾン酸化 / 光酸化反応 / OHラジカル |
研究概要 |
最も放出量の多い植物起源揮発性有機物(BVOC)であるイソプレンに関しては、その光化学酸化反応による有機エアロゾル生成の収率は他の多くのBVOCの光酸化反応下でのエアロゾル生成収率に比べて小さい。光化学反応チャンバーを用いたイソプレンの光酸化反応によるエアロゾル生成はその生成量の反応時間依存性から、1次生成物の凝集ではなく反応生成物の更なる大気酸化反応によって生成される2次生成物の凝集の寄与が大きいと示唆される。エアロゾル生成をもたらす条件は、エアロゾル生成量の初期イソプレン濃度とNOx濃度依存性から、RO2+NOとRO2+HO2型反応の分岐に大きく依存しているものと考えられる。 またイソプレンのオゾン反応からのエアロゾル生成について、OHラジカル捕獲剤の有無がエアロゾル生成量に大きく影響することが分かった。その影響はOH捕獲剤の種類には依存しないことから、光酸化反応におけるイソプレンおよびNOx濃度依存性から示唆されている、反応生成物のOHラジカル酸化がエアロゾル生成に不可欠であることが明らかになった。更に個々のエアロゾル毎の組成を調べると、OHラジカル捕獲剤(一酸化炭素)の存在の有無によって組成が異なり、RO2+HO2型で生成すると考えられるカルボン酸型の組成比が大きく変化することも分かった。 以上の結果は、イソプレンからの有機エアロゾル生成では、OHラジカルによるイソプレン酸化生成物の2次的な酸化反応、ならびに酸化反応途中のHO2/NOx比が大きな支配因子であることを裏付けるものである。
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