研究課題/領域番号 |
17310020
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永田 信 東京大学, 大学院・農学生命科学研究所, 教授 (20164436)
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研究分担者 |
土屋 俊幸 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究所, 助教授 (50271846)
柴崎 茂光 東京大学, 大学院農学生命科学研究所, 助手 (90345190)
庄子 康 北海道大学, 大学院農学研究科, 助手 (60399988)
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キーワード | 世界自然遺産 / 自然資源 / 管理 / 過剰利用 / 屋久島 / 白神山地 / 知床半島 / 小笠原 |
研究概要 |
平成17年度は、屋久島、白神山地、知床半島、そして遺産登録候補地としての小笠原において、管理体系や利用の現状を明らかにした。 屋久島に関しては公共団体(環境省・林野庁・上屋久町・屋久町など)を訪問し、山岳地域を中心とした自然資源管理体系の変容を遺産登録前後で比較した。その結果、山岳地域においては遺産登録前後で維持管理費用が約12倍に増大した一方で管理体系が複雑化したことが明らかになった。また里地についても維持管理費用が約6倍に増大した。一方、海岸地域では維持管理費用変化は約3倍に過ぎなかったが、過剰利用問題が一部地域で生じていた。 知床半島に関しては、11月と2月に現地調査を実施し、環境省・斜里町・羅臼町・知床財団・羅臼漁協・NPO団体などから聞き取り調査を実施した。その結果、(財)知床財団といった財団法人や、科学委員会と呼ばれる研究者による諮問機関が各種管理計画の策定・運営に大きな影響を持っていることが屋久島・白神山地と異なる点として挙げられた。ただし遺産登録初年度は、知床五湖などをマスツーリストが集中的に訪問したため、過剰利用問題が発生していたなど問題点も顕在化した。 小笠原については、管理体系の中でも特にエコツーリズムにおける自主ルールの役割に注目した。その結果、1989年以降において、確認されただけでも18種の自主ルールが存在し、法律では対応できない状況を補完する役割を果たしていた。誕生した自主ルールは、各利害関係者間のせめぎあいの中で、権益保護と自主規制の2面性を持って形成・運用され、次第に強化・拡充されてきたことも明らかになった。この他に、小笠原については観光利用(特に生産額)アンケート調査を実施した。その結果、小笠原における年間観光生産額は11億4,200万円であり、特に宿泊業者、エコツアー業者による生産額がそれぞれ4.6億円と、高い割合を示した。
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