研究課題/領域番号 |
17310020
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永田 信 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (20164436)
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研究分担者 |
土屋 俊幸 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究院, 助教授 (50271846)
柴崎 茂光 岩手大学, 農学部, 助教授 (90345190)
庄子 康 北海道大学, 大学院農学研究科, 助手 (60399988)
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キーワード | 世界自然遺産 / 自然資源 / 管理 / コモンズ / 住民参加 / 屋久島 / 知床半島 / トンガリロ |
研究概要 |
平成18年度は、ニュージーランド北島の中央部に位置し、世界複合遺産に登録されているトンガリロ国立公園を11月に初めて訪問し、Department of Conservation(DoC)などの利害関係者の概要を把握することに努めた。また3月に再訪し、地域住民(特にマオリ族)が世界自然遺産管理にどのように参画しているかに焦点を当て、Ngati Tuwharetoa族や、Ngati Rangi族のキーパーソンに聞き取り調査を実施した。その結果、2006年11月に、同国立公園を対象とした世界遺産地域管理計画が策定されたが、ドラフトに対して、パブリックコメントをする場が提供されており、マオリの人々がこれに対して意見を出したことが明らかになった。ただしDoC側との双方向的な意見交換はなされずに管理計画が策定され、合意プロセスに問題があることも判明した。 屋久島では前年度に続き、地域資源管理の現状把握に努めた。特に現地のガイドと一緒に登山道などを視察し、土壌浸食が進んでいること、また多様な観光客のニーズにこたえる整備体制になっていない可能性が高いことが明らかになった。 知床半島については、事業者のガイドラインが検討されているが導入のメリットが明確ではないという現状を踏まえ、訪問客に対するアンケート調査を実施し、ガイドラインがツアー選択に及ぼす影響を分析した。その結果、訪問客はガイドラインに従ったツアーに参加するため約1万円の追加的費用を支払っても構わないことが明らかとなった。経済性は事業者にとって重要であり、今回のような結果は事業者の理解を図る意味で、管理論の構築において大きな意味を持つことが明らかとなった。
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