研究課題/領域番号 |
17310024
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境影響評価・環境政策
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
柳下 正治 上智大学, 大学院・地球環境学研究科, 教授 (40335021)
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研究分担者 |
早瀬 隆司 長崎大学, 環境科学部, 教授 (40301361)
島田 幸司 立命館大学, 経済学部, 教授 (70367986)
杉山 和一 長崎大学, 環境科学部, 准教授 (80253631)
松橋 啓介 国立環境研究所, 社会環境システム研究領域, 主任研究員 (20291049)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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キーワード | EST / 環境政策 / バックキャスティング / 参加的手法 / ステークホルダー会議 / 交通需要マネジメント |
研究概要 |
本研究は、温室効果ガス長期的大幅削減への国際政治の流れの中で提唱されたEST(Environmentally Sustainable Transport;環境的に持続可能な交通)を対象に、日本の全国及び地域(長崎都市圏域)においてステークホルダー(SH)会議を実践し、中長期的政策シナリオ及び合意形成の道筋を描き出すことを目標とした参加的政策手法を開発・提案しようとするものである。 全国会議は「SHによる熟慮機会を提供する参加型会議は、EST実現のための革新的な政策形成における根本的な障壁、そして論点を明確にできる」との仮説を、地域会議は「EST実現政策の合意形成は、具体の利害が絡まない限り情報共有によって歩み寄ることが可能である」との仮説をそれぞれ設定して実施した。 研究は、まず先行研究レビュー及び会議方針の検討を行った上で、平成18・19年度(2006・2007年度)に会議を開催した。 全国会議については、SHの主導で討議テーマを選定し、熟慮討議を経て一応の結果を導き出すことができた。しかし、SH間での熟慮によって論点、及び合意点や対立点等、意見の構造を明確化できたかどうかについては、厳しい評価を下さざるを得ない。また熟慮討議を促すため会議設計上の工夫をしたが、多くの課題を見出す結果となった。 地域会議については、情報の共有によってSH間に意見の歩み寄りが見られるなど、会議仮説の実証はできたと総括する。ただし、会議が構想どおりに実施されたかに関しては課題を残し、討議の内容面の不十分さ、会議の質の維持・向上のための情報知識基盤や人材面での不足が顕在化した。 本研究により、バックキャスティングによる科学的知識の共有と熟慮に基づくSH間の対話が、EST実現に立ちふさがる利害関係や障壁を発見し、革新的政策を見出していくということに関し、貴重な実証データと具体的課題を抽出することができた。
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