研究課題/領域番号 |
17310025
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松本 泰子 京都大学, 地球環境学堂, 助教授 (30310527)
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研究分担者 |
石井 敦 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教授 (30391064)
久保田 泉 国立環境研究所, 社会環境システム領域, 研究員 (00391095)
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キーワード | 国際関係論 / 政策的相互連関 / 生物多様性 / 地球温暖化 / オゾン層破壊 / 国際捕鯨委員会 / 国際貿易機関 / 科学アセスメント |
研究概要 |
(1)関係論文のレビューを行い、その結果を査読論文で公表した。法学、経済学、政策科学の各分野における相互連関の研究動向を概観した後、政策的相互連関の概念を用いて、気候変動レジームと、オゾン層、生物多様性、自由貿易の各レジームとの相互連関に関する各事例のレビューを行った。これらから、問題ごとに対処する形をとってきた地球環境政策は、様々な矛盾を生じさせ、潜在的な相乗効果を発揮させることもできていないこと、また、従来の関連研究は、相互連関を取り入れた政策体系のあり方を導出するには至っていないことを示した。 (2)生物多様性条約(CBD)と他の国際制度との政策的相互連関の中でもとりわけ重要視されている、いわゆる森林吸収源をめぐるCBDと気候レジームの政策連関を取り上げ、その交渉経緯を分析することによって、生物多様性への配慮が吸収源活動にどの程度、取り入れられているかを評価し、予備的な要因分析を試みた(査読論文で公表ずみ)。また、日本の国内政策を取り上げ、言説分析を行うことによって、生物多様性への配慮が森林吸収源の政策にどの程度、取り入れられているかを評価し、気候変動枠組条約の政府間交渉における日本の立場と国内政策の相関を分析した。 (3)政策的相互連関を日本の地球温暖化政策に取り入れるためには、その政策決定過程を分析しなければならない。そのため、当該政策決定過程の概念モデルを分析し、日本への適用可能性を、政策的相互連関の重要なケーススタディである日本の捕鯨外交をもとに検証した。その結果、当該概念モデルは適用可能であることが明らかとなった(査読論文で公表ずみ)。 (4)京都議定書のクリーン開発メカニズムが本格的な運用段階に入ることによって、具体化したオゾン層保護レジームと気候変動レジーム間の新たな政策矛盾である、代替フロンHFC23破壊事業を事例として、制度間相互作用の分析枠組みを使用し、問題の因果関係のメカニズムと相互連関のパターンを同定することによって、問題の特性を分析し、政策矛盾が生じた要因と背景を明らかにした(査読論文および口頭発表で公表済み)。
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