研究課題
基盤研究(B)
本研究の目的は、細胞周期チェックポイント制御やアポトーシス誘発といった細胞応答とゲノム損傷とに関与するシグナル伝達因子についてプロテオーム解析するとともに、既に両反応に関わることが証明されているタンパク質との相互作用を調べることにより、放射線に対する細胞応答の基本因子を同定することである。得られた研究成果は以下の4点に要約される。1.放射線照射後のAuroraキナーゼの細胞内分布を調べたところ、Aurora-Bと抗アポトーシス因子であるsurvivinは共に連動して染色体パッセンジャータンパク質INCENPに結合し、そのことがアポトーシスや染色体異常の誘発を引き起こすことがわかった。2.プロテオーム解析により、Aurora-Bの基質として新たにRNA methyltransferase NSUN2を同定し、Aurora-Bは分裂期において139番目のセリンのリン酸化を介して酵素活性を制御していることを証明した。3.ヒト白血病由来Jurkat細胞にγ線や紫外線を照射し、細胞質ゾル分画について二次元電気泳動を行ったところ、未照射細胞とは異なったタンパク質スポットが出現した。質量分析装置を用いたペプチドフィンガープリント解析により、酸性リボソームタンパク質P2(RpP2)の脱リン酸化がアポトーシス誘発に関わっていることが示唆された。4.ゲノム損傷応答因子p53はMDM2-MDMX複合体形成と、そのユビキチンE3活性に必要である事を明らかにした。以上の結果より、Auroraキナーゼやp53は細胞周期チェックポイント制御とアポトーシス誘発の両方に関与し、放射線応答基本因子として働いていることが判明した。一方、酸性リボソームタンパク質P2(RpP2)については、細胞周期進行制御にどう関わるかを解析することにより、その役割が明らかになるものと思われる。
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