紫外線照射に伴って誘導されるXPC、DDB2タンパク質のユビキチン化が、ヌクレオチド除去修復(NER)反応機構において果たす役割について検討を行った。精製UV-DDB-ユビキチンリガーゼ複合体を用いたin vitroユビキチン化反応、および紫外線損傷DNAを固定化した磁気ビーズを用いた結合実験により、DDB2のポリユビキチン化によってUV-DDBの紫外線損傷DNA結合活性が失われること、一方対照的にポリユビキチン化されたXPC複合体はDNA結合活性を保持していることが示された。さらに、無細胞NER反応系においてUV-DDBが存在する場合に限り、ポリユビキチン化がNER反応そのものにも必要とされることが明らかになった。以上の結果から、UV-DDBがまず紫外線損傷を認識して結合し、タンパク質間相互作用を介してXPC複合体がリクルートされた後、ポリユビキチン化がXPC複合体とUV-DDBとの置き換えを促進している可能性が強く示唆された。XPCとDDB2との相互作用部位を同定する目的で、DDB2のさまざまな欠失変異体をGST融合タンパク質としてバキュロウイルスを用いて発現させ、FLAG-XPCとの結合を調べる実験を現在進めている。また、XPCタンパク質の脱ユビキチン化に関わる因子を探索する目的で、約60種類の既知のヒト脱ユビキチン化酵素を網羅的にノックダウンするためのsiRNAライブラリーのスクリーニングを行った。その結果、XPCタンパク質の脱ユビキチン化の抑制を起こす候補因子が得られてきている。この因子をノックダウンした時の細胞のNER活性を測定すると共に、siRNAライブラリーのスクリーニングを継続して現在進行中である。
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