XPCタンパク質におけるユビキチン化部位を決定するために、まずこのタンパク質のドメイン構造に着目した。出芽酵母RAD4との相同性や二次構造予測の結果から、XPCタンパク質はN末端とC末端にそれぞれドメインを持ち、その間をほとんど構造を取らない領域が連結していることが予想されている。この中央領域にPreScisionプロテアーゼ切断配列を人工的に挿入したXPC変異体についてin vitroユビキチン化反応を行い、その後このプロテアーゼで切断することにより、この領域がユビキチン化の主な標的になっていることがわかった。この領域には30個近いリジン残基が存在するが、そのすべてをアルギニンに置換した変異XPCを作成したところ、in vitro系におけるユビキチン化のレベルは大幅に低下した。しかしながら、まだ若干のユビキチン化が観察されたため、さらにN末端直近のフレキシブルな領域の関与について調べている。これらの変異XPCをXP-C群細胞において安定に発現させ、DNA修復活性や細胞のDNA損傷応答について解析を行う予定である。一方、XPCタンパク質は紫外線照射後に可逆的なユビキチン化を受けるが、この脱ユビキチン化に関わる酵素を同定するためにsiRNAを用いたスクリーニングを行った。その結果、発現をノックダウンした時にXPCタンパク質のユビキチン化が紫外線照射後、時間が経過しても低下しない酵素が見出された。さらにこの酵素をノックダウンした細胞では、紫外線照射によって生じる(6-4)光産物の修復速度が有意に低下することがわかった。
|