研究課題
基盤研究(B)
時効析出処理を施す環境調和型銅合金(有害元素のBeを含まない銅合金)の強度と導電率を向上させるために、最適な添加元素の組成と加工や熱処理等について検討した。銅合金の特性に及ぼす不純物元素の影響を少なくするために、超高純度素材を用いて、時効析出型のCu-Ti合金やCu-Ni-Si合金の試料を作製した。異なる組成のそれらの銅合金について、時効に伴う硬度や電気抵抗率の特性を系統的に調査し、等時焼鈍の実験結果から、いずれの合金においても600〜750Kにおいて時効析出が起こることを示した。それらの時効特性と対応させて、溶体化後の720Kでの等温焼鈍による、銅合金における添加元素のクラスタリング過程をX線小角散乱法(SAXS)等により評価した。SAXSで見積もられる析出物の有効半径(距離分布関数において現れるピークの位置)が2〜3nmのサイズのときに、硬度が上昇し、電気抵抗率の低下(導電率は上昇)が起こることを示した。しかし、高温で長時間時効を行うと電気抵抗率はさらに低下するが、硬度も低下する(過時効が起こる)ため、適度な添加元素のクラスタリングが特性向上に適していることを示した。さらに、時効させたCu-Ni-Si合金について、放射光を用いたNi吸収端近傍での異常X線小角散乱測定(ASAXS)を行い、この合金における析出にはNiのクラスタリングが起きていることを明らかにした。また、拡張X線吸収微細構造(EXAFS)法により、添加元素(特に、Cu-Ni-Si合金におけるNi)の局所構造も調べ、時効に伴うNi原子周囲の局所構造の変化も明らかにした。
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