研究概要 |
本研究では,水蒸気プラズマを大気圧下の直流放電によって発生することに注目し,水蒸気プラズマによって,オゾン層破壊物質あるいは地球温暖化物質であるフロン,ハロン,SF_6等のハロゲンを含む廃棄物に対する新しい処理方法を開発することを目的とした。 本年度は,水蒸気プラズマを安定に長時間発生するためのトーチを開発した。特に,このプラズマ発生装置の陰極の材料の選択,トーチ形状の改良を行い,安定な水プラズマの放電を2時間持続させることに成功した。ハフニウムおよび炭化ハフニウムを陰極として水プラズマの発生実験を行ったが,フロン分解を長時間安定に行うには,陰極材料の改良が必要である。 次に水蒸気プラズマの数値解析および計測を行った。反応非平衡を考慮した大気圧プラズマの数値解析コードを開発した。特に大気圧熱プラズマの2万℃までの物性値の推算手法を確立し,電離反応や解離反応の反応速度を考慮した数値解析を行った。なお,水蒸気プラズマ中の活性種の挙動を解明するためにプラズマ分光分析を行った。水プラズマの温度はトーチ出口で平均で4700Kであり,中心温度は9400Kであった。トーチ出口から10mmの位置でも4000K程度の温度を有するので,フロンの水プラズマ中での滞留時間を考慮するとこの位置でほぼ分解反応が終了すると考えてよい。 また,質量分析器を用いて,水プラズマ中に存在している活性種を測定した。水プラズマによるエタノールの分解によってH_2とCO_2が生成していることを確認した。なお,分解ガスに含まれていると考えられるCOは同じ質量数の窒素と重なってしまい,生成を確認することはできなかった。COとCO_2の存在比を求めることによって,分解温度を推算する方法を示した。
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